北陸のお墓の工法――扉付きの「地上の納骨室」はなぜ生まれ、どう造るのか

富山県を中心とした北陸のお墓は、全国でよく見るお墓より背が高く、正面や背面に扉が付いているものが多くあります。扉の奥は、骨壺を納める「納骨室(カロート)」です。墓まもりでは、この北陸型の地上カロート墓の新規建立・建て替え・修理を、自社の職人が施工しています。

全国向けの本やインターネットの情報は、納骨室を地面の下に造る「地下式」を前提にしたものがほとんどです。このページでは、北陸のお墓を建てる・直すときに知っておいていただきたい「造り」の違いを、できるだけわかりやすくまとめました。

1. 北陸のお墓に扉がある理由:遺骨を水から守るため

北陸は雨も雪も多く、地面の下は湿りがちです。納骨室を地下に造ると、雨水や雪解け水が入り込み、骨壺に水がたまってしまうことがあります。そこで北陸、とくに富山では、納骨室を地上に石で組み、扉を開けて骨壺のまま納める形が広まりました。

地上に納骨室をつくる分、石の量が増え、お墓は高く大きくなります。代々の家族が同じお墓に入ることが多く、骨壺を何体も並べる広さが要ることも、大きくなる理由のひとつです。

2. 地上式と地下式、それぞれの特徴

地上式(北陸に多い・扉付き)地下式(全国に多い)
納骨室の位置地面より上。扉から骨壺を出し入れ地面の下。拝石(蓋石)を外して出し入れ
水・湿気地面からの水が入りにくい地下水・雨水が入りやすく、対策が要る
納骨の手間扉を開けるだけで納骨できる重い石を動かす作業が要る
納められる数広く造りやすい区画の広さと深さで決まる
石の量・高さ多い・高い(費用は上がりやすい)少ない・低い
地震への備え背が高く石が多いため、組み方と固定が大切重心が低く、比較的備えやすい

どちらが優れているということではなく、土地の気候と墓地の決まり、ご家族の人数に合うものを選ぶのが基本です。

なお、北陸の中でも、新潟や能登、福井の一部では、骨壺から遺骨を出して、底が土になった納骨室に納め、土に還す習わしの地域もあります。お墓の造りは、納め方の習わしとも深く関わっています。

3. 納骨室の組み方は3種類

地上の納骨室は、石の組み方によって大きく3つに分かれます。

工法組み方特徴
くり抜き型(胴抜き)大きな1つの石を、四角い筒の形にくり抜いて納骨室にする側面に継ぎ目がないため、水が入りにくく、揺れにもゆがみにくい。大きな原石が要るので費用は高め
貼り合わせ型側面の板石2枚と背面の板石1枚を、接着して箱の形に組むくり抜き型より石の量を抑えられる。継ぎ目の接着と防水の施工の質が長持ちを左右する
柱型四隅の柱に板石をはめ込んで組む使う石が最も少なく、大きなお墓でも費用を抑えやすい。継ぎ目が多いため、固定と防水の工夫が欠かせない

富山県内では、地域やお墓の大きさによって多い工法が違うといわれます。たとえば、4尺までの比較的コンパクトなお墓ではくり抜き型、3尺半前後では貼り合わせ型、5尺の大きなお墓が多い魚津・黒部方面では柱型がよく見られる、という傾向です。

墓まもりでは、射水市などで「納骨室くり抜き型」のお墓を施工しています(下の施工例をご覧ください)。どの工法でも、ご予算・区画の広さ・お墓の大きさをうかがったうえで、完成予想図面(正面・側面・平面・立体)と3D図面、墓地の写真に完成イメージを重ねた合成画像で、組み方と仕上がりをお見せしてからご提案します。

地上の納骨室(カロート)の3つの組み方:くり抜き型・貼り合わせ型・柱型の構造と継ぎ目の違い
地上の納骨室の3つの組み方。青い線は石と石の継ぎ目です。

4. 墓まもりの扉まわりと納骨室の工夫

地上の納骨室は、扉と内側の造りで、使いやすさと長持ちが変わります。墓まもりのお墓では、次の点を標準の工夫としています。お見積りや展示場でご覧いただくときは、ほかの石材店のお墓と比べてみてください。

墓まもりの納骨室の断面図:引き出せる香炉、虫が入りにくい扉、水返し、可動式の棚板、棚の下の埋骨スペース
墓まもりの納骨室の中(断面のイメージ)。番号は下の工夫の説明と対応しています。

5. 地震と雪の「共通の弱点」は継ぎ目

石と石の継ぎ目(目地)のイメージ
イメージ写真:石と石の継ぎ目(目地)

北陸のお墓では、地震の揺れでずれる場所と、雪や凍結で傷む場所が、どちらも石と石の継ぎ目(目地・接着面)に集まります。

つまり、継ぎ目をどう組み、どう固定し、どう保つかが、地震対策と雪対策を同時に決めます。墓まもりでは、新しく建てるときも、修理のときも、この継ぎ目の施工を最も大切にしています。

6. 地震への備え方と、その考え方

お墓の地震対策には、主に次のような方法があります。それぞれに得意・不得意があり、組み合わせて使うのが一般的です。

方法しくみ注意点
耐震用の接着剤(弾性ボンド)石と石を弾力のある接着剤で固定し、揺れを受け流す年数とともに劣化するため、点検と打ち直しが要る
芯棒・ピン(ダボ)竿石と台石などに穴をあけ、ステンレスの棒を差し込んでずれを防ぐ横ずれに強い。既存のお墓にも施工できるが、石に穴をあける
金具(L字金具など)台石や外柵の角を金具でつなぐ4つの石を組んだ台石など、継ぎ目の多い部分に向く
免震・耐震の材料(ゲル・パッドなど)石の間に揺れを吸収する材料をはさむ製品ごとの試験条件が公表されていないものも多く、効果は製品によって違う

墓まもりで標準としている方法:上下の石を貫く極太の耐震ホゾ(太い芯)を通す「貫通施工」で、石どうしをしっかりつないでいます。

「震度7でも倒れない」といった表現は、試験の条件(揺れの向き・回数・お墓の形)によって意味が大きく変わります。墓まもりでは、お墓の形と墓地の地盤に合わせて、どこをどう固定するかを図面でご説明します。

7. 基礎:見えなくなる部分ほど大切に

お墓の基礎の鉄筋のイメージ
イメージ写真:完成すると見えなくなる、基礎の鉄筋

お墓の下には、コンクリートの基礎があります。一般的には、地面を掘って砕石を敷き、よく締め固めてから、鉄筋を入れてコンクリートを打ち、雨水が流れるよう勾配を付けます。完成すると見えなくなる部分なので、どのような基礎を造るのか、お見積りの段階で石材店に確かめておくと安心です。墓まもりでは、墓地を現地で確認し、周りの状況や工事の難しさも見たうえで施工の計画を立てます。

8. 施工の時期と、完成までの期間

お墓の組み立てに使うセメントや接着剤は、雨や低い気温の日にはきちんと固まりにくくなります。墓まもりでは、できるかぎり天候のよい日を選んで施工しています。

ご契約から完成・お引き渡しまでは、標準で2か月半〜3か月ほどです。墓石は契約の日に原石の手配を始め、工場で加工します。中国の旧正月の時期は工場が止まるため、さらにお時間をいただきます。四十九日やお彼岸、お盆、一周忌などに間に合わせたい場合は、できるだけ早めにご相談ください。

9. お見積りを比べるときのチェックリスト

工法の違いは、お見積書の金額だけでは見えにくいものです。複数の石材店のお見積りを比べるときは、次の点をそろえて確かめてください。

  1. 納骨室の工法(くり抜き型・貼り合わせ型・柱型のどれか)
  2. 石材の名前と産地(「御影石」だけでなく、石の名前と産地まで書いてあるか)
  3. 地震対策の方法と、どの石と石を固定するか
  4. 基礎の仕様(深さ・鉄筋の有無)
  5. 扉・水返し・通気・棚板の仕様と、納められる骨壺の数
  6. 彫刻・扉の加工・金具・運搬費が含まれているか
  7. 保証の年数と、何が保証の対象か
  8. 支払いの時期

墓まもりのお見積りには、一般彫刻(家紋を含む)・扉の加工・金具・運搬費が含まれています。石材は産地・流通名のまま見積書に書いています。新しく建てるお墓と建て替えたお墓には10年保証が付き(修理・クリーニングは対象外)、お支払いはご契約時に半額、完工後に残額です。

10. 古いお墓の「造り」を見てほしいときは

昔の富山のお墓には、4つの石を組み合わせた台石など、継ぎ目の多い造りがよくあります。雪解けのあとに石のずれや目地の割れ、扉の閉まりにくさ、納骨室の水たまりに気づいたら、早めにご相談ください。墓まもりでは、現地で造りを確かめ、継ぎ目の打ち直しや金具での補強、扉の作り替えなど、建て替えずに直す方法もあわせてご提案します。

施工例

ご相談・お見積り(無料・即日対応)

このページの監修:墓まもり責任者 渡邉 裕之(墓石業界 約18年)/運営:ヤマイチ株式会社(1950年創業)・全石協加盟

最終更新日:2026年11月5日